日々改善ブログ

業務改善や効率化の小技やアイデアを書き留めます

サラリーマン木こりのパラドックス

f:id:rbtgr:20200113143423p:plain

「木こりのジレンマ」という寓話をご存知でしょうか?

ある木こりが、がんばって木を切っている。 通りがかった旅人がその様子を眺めていたが、斧を振るう勢いのわりに、なかなか木が切れていない。 見ると木こりの使っている斧がこぼれしているようなので、旅人は言った。 「斧を研いだほうがいいのでは?」 すると、木こりは言った。 「わかっちゃいるんだけどね、木を切るのに忙しくて、それどころじゃないよ」 引用元 https://webtan.impress.co.jp/e/2017/06/27/26149

いくつかパターンがあり、元ネタがどこなのかはわかりませんでしたが、話の流れは同じです。 そして多くの場合、「斧を研ぐための時間を取った方が、結果的に多くの木を切ることができる」ことを読み手に諭し、改善活動の重要性を説いています。

しかし実際には、こんな話をしても現場には響かないし、改善活動も全然浸透しないということが多いのではないでしょうか? 改善を行った方がより成果が上げられることは、こんな寓話を聞かされなくても、頭ではわかっていることです。

では、なぜ誰も斧を研いでくれないのでしょうか?

木こりの話をもう一度自分たちの仕事にしっかりと当てはめなおしてみましょう。 斧を研いでより多くの木をきった場合、つまり改善して効率を高めより多くの仕事をこなした場合、どうなるでしょうか?

仕事をしている人の多くはサラリーマンです。与えられた仕事が終わったら、次の仕事が降ってくるだけです。 もしかしたら残業が幾分か減るかもしれません。でも残業代がもらえなくなるのが嫌な人もいます。 効率化して、多くの仕事をこなした結果、斧を研いだ人にはメリットがあったのでしょうか?

この矛盾は、木こりが労働時間で報酬を得ているサラリーマンであることに起因しています。

つまり「どれだけ木を切ったか」ではなく、「どれくらいの時間木を切っていたか」で給与が決まってしまうことが原因です。

ようするに、誰も斧を研がないのは、「研ぐ意味がないから」です。 この矛盾を「サラリーマン木こりのパラドックス命名してみました。

サラリーマンに徹している人にとっては、改善はメリットを感じにくい活動です。 改善が現場に広く浸透するためには、実施する人がメリットを感じられなければなりません。

  • 改善そのものに対する報酬を大きくし、明確にする。
  • 成果量と報酬を連動させる。
  • 年俸制を採用するなど

など、対策は大小さまざま考えられます。

改善を推進するならば、斧を研ぐ人の気持ちをよく考えなくてはなりません。